村上春樹「アフターダーク」より
タイトルにあるとおり、久しぶりに小説を読みました。
オチが全然わからず、結局何言いたかったんだろう…?となってしまったのですが、お気に入りの言葉が見つかったので紹介します。(以下太字引用部分)
そのお気に入りの部分は、主人公のマリちゃんと、めっちゃ怖い人から逃げているらしいコオロギさんの会話。
マリちゃんのお姉ちゃん(眠り姫、らしい)のお話や、コオロギさんの逃亡のお話、お互いに信頼した人にしか言えないような話をしていく中で、「記憶」に関する話になります。
「人間の記憶ゆうのはほんまにけったいなもので、役にも立たんような、しょうもないことを、引き出しにいっぱい詰め込んでいるものなんよ。現実的に必要な大事なことはかたっぱしから忘れていくのにね」
「それで思うんやけどね、人間ゆうのは、記憶を燃料にして生きていくものなんやないのかな。その記憶が現実的に大事なものかどうかなんて、生命の維持にとってはべつにどうでもええことみたい。ただの燃料やねん。(中略)大事な記憶も、それほど大事やない記憶も、ぜんぜん役に立たんような記憶も、みんな分け隔てなくただの燃料」
「それでね、もしそういう燃料が私になかったとしたら、もし記憶の引き出しみたいなものが自分の中になかったとしたら、私はとうの昔にぽきんと二つに折れてたと思う。どっかしみったれったところで、膝を抱えてのたれ死にしていたと思う。大事なことやらしょうもないことやら、いろんな記憶を時に応じてぼちぼちと引き出していけるから、こんな悪夢みたいな生活を続けていても、それなりに生き続けていけるんよ。もうあかん、もうこれ以上やれんと思っても、何とかそこを乗り越えていけるんよ」
「そやから、マリちゃんもがんばって頭をひねって、いろんなことを思い出しなさい。お姉さんとのことを。それがきっと大事な燃料になるから。」
すっごく今心にしみた文章だった。
最近、自分が苦手としてる「チームで動く」に挑戦してて、それで結構苦しいな、と思うこともあって、ちょっとうつむき気味だった。
多分私の気の張り方があんまりよくないんだと思う。
今までそういうことをずっと避けてきたから、経験値0スタートなので、何とも言い難いんだけれど。
そんな時、家でボーっとしてると浮かんでくるのは、やっぱ決まって、全く関係のないことなんだよね。
例えば、高校の時、友達と2人で、教室の窓際、後ろの方でお弁当を食べながら、本当にどうでもいい話をしたなぁ、とか。
それを思い出したからと言って、どうしたらチームでうまく動いていけるのか、なんてわかるはずもない。
でも、まるで目の前で上映されているかのように思い出してしまう。
でね、ちょっとだけ、ほんのちょびっとだけあったかくなる。
今抱えてる問題に何の変化もないのに、ちょっとそれが軽くなったんじゃないかって錯覚してしまう。
で、思う。
「まぁ、いっか」って。
多分ここで言いたいことって、そういうことなんだろうって思う。
そういうね、チームでどう動くとか、そういう本はいっぱいあるだろうし、そこに書いてあるコツ的なものを使えばうまくいくのかもしれないけど、結局私の背中を押してくれるのはいつだって、そういう、他人にとっては「だから何?」で終わってしまうような何かなんだろうな。
ていうか、それ思い出せんくなったら末期だと思う。
そんな余裕ない人にはなりたくないな。
なんか何言いたいかわからないんだけど、この文章大好き!っていうことを紹介したかったので書きました。
またね~。